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揺れる恋 めぐる愛
第6章 宣告と告白
何か奥底に隠し持っていたものが一気に喉元まで競り上がってきた……

吐き出してしまいたい。

そもそもそんなものをいつまでも腹に持ち続けたくなんかない。

それでも、どうしても私は結局ソコに引き戻されてしまう……

全く吹っ切れてなんかいないし、忘れることすら許されないのだろう。


その花の花言葉は「友情」

春の綺麗な花だが私にとってその花は二度と見たくもなく、

思いだしたくない名前すら口にしたくない程の忌々しい花。


私は主任の見慣れない様子と、

その花を見た気分の悪さに声をかける気にならず、

手に持っていた鉢植えを元の場所に戻し、その場から……

足早に逃げた。


家までは10分ほど……

何とかそれまで持ちこたえてと祈りながら、

私は遮二無二突っ走った。


信号待ちで立ち止まった時、ふと見えた斜め向かいの信号の黄色が

鮮明に脳裏に入り込むと、あの時の感じた悔しさと辛さと自分の愚かさが

再び躰中にフラッシュバックする。


イヤ……

その場で崩れ落ちそうになる躰をなんとか踏ん張り持ちこたえた。


そう、あの花は……

あの忌々しい花は……

学生時代に好きになってしまった男(ひと)から送られた花。

ただ好きで遠くから見つめているだけで幸せだったのに……

それだけならよくある淡い恋心で終わったものを……
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