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揺れる恋 めぐる愛
第7章 執着と決別
それなのに……

ある日突然にその時は訪れた。


いつも社会科準備室で資料のプリントの整理を手伝っていたから……

その日も何の疑いもなく印刷したばかりのプリントを抱えた先生の後ろを

ついて準備室に向かう。


準備室の扉を開け、先生が中に入り、

プリントをいつものように中央にある大きな机に降ろした。

私も扉を閉めてから入り口横に積んである

クラスごとのカゴを取って並べようと手を伸ばした時……

唐突に人の気配が近づいてきて振り向くと、私の後ろに先生が立っていた。


その大きな体で視界を塞がれ、途端に不安になった。

「せんせ?」

その距離があまりにも近く、顔を見ようと視線を彷徨わせている時、

何の前触れもなく頬を掌で包まれた。

掌で触れた所にピリピリと電気が走ったように痺れる。

そしてあっという間に唇が強引に押し付けられた。


それから唇を無理矢理割られ、ねっとりとした舌先が口腔内に侵入し

搔き回される……

反射的に身を捩って逃がれようとしたが

押さえ込む力の強さに、なすすべもなかった。


自分の身に何が起こっているのかわからず……

ふいに目から涙が溢れ、その雫がとめどなく頬を何度も伝う……

拘束されていた力がふと緩んだ。

それでも私はもう逃げることも動くこともできず、

そのままただ固まっていた。
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