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揺れる恋 めぐる愛
第7章 執着と決別
「藤木……

野乃花?ののか??すまない」

涙の向こうに申し訳なさそうに両手を後ろに回して身を引き、

離れた先生が項垂れ謝る。

「違う……」

涙を流したまま私は呟くように吐き出した。

「ちがう?」

「なっ、なんで……

なんで、こんなこと私に……

するの?」

声が上ずり震えた。

「好きだった。

ずっとず~っと好きで……

もう我慢できなかった」

先生はそれだけ言いながら拳を握り締め、腰を丸める。


好き?!

信じられない言葉に、益々身動きが取れなくなってしまう。

まさか……

うそ!どうして?

「でも……」

先生が伏し目がちにもう一歩後ずさった。

その姿に切ない空気を感じ、胸が締め付けられた。

私は勇気を振り絞って手を伸ばし、愛しい人の手を引く。

「ちがうの。

いやじゃない……」

繋がれた手から伝わってくる熱。

手首に指先が触れると、ソコは破裂しそうに脈打っていた。

「いいの……?」

力強く握り返された掌に後押しされ、顔を上げ先生を見つめる。


お互いの視線が絡み合う。

真っ直ぐだったそれが螺旋に絡み合い

お互いの存在がそれぞれの目の奥に刻まれていく。


もう……

言葉なんていらない。

私はその問いにただ頭を縦に振り応えた。

先生がそれを確認したかのように微笑んで、

私を両腕で包み込み、壊れそうなほど強く抱きしめてくれた。
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