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揺れる恋 めぐる愛
第7章 執着と決別
「妻とはもう冷え切ってるんだ……

君が卒業するまでにきちんと身辺整理するから、結婚しよう」

そう囁く先生を信じて疑わなかった。

その言動に潜む嘘を、身も心も未熟だった私が見抜けるはずもなかった。


先生は翌年の私の誕生日祝いにと、

その週末少し離れたホテルの部屋を取ってくれた。

その時贈られた花が、あの黄色い花。

ミモザアカシア。


先生が私を抱き寄せ耳朶を軽く甘噛みし囁く……

「この花の花言葉は友情なんだが……

その他に秘密の愛、真実の愛、秘めた恋というのもある。

お前に捧げるためにあるような花だな?」

私への想いを花束に込め贈ってくれたと思ってしまった。


私たちは秘密の関係だったので、それ以外の逢瀬は社会科準備室。

なかなか二人きりになれない切なく辛い恋だったけど、

許されないはずの恋がかなった高揚感で、何もかもが見えなくなっていた。

こんな逢瀬も卒業までだと……

言い聞かせて我慢した。


そして卒業して間もなく迎えた誕生日……

私は期待に胸を膨らませ、その日のために選んだ服を着て、

踵の高いヒールを履いて約束の場所に降り立ったが……

その日は先生と会う最後の日になった。


「本当に馬鹿だよな。別れるのはお前とだ……」

それから……

風の噂で先生に子どもが生まれたと知った。

卒業したから……

さよならだった。
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