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第10章 懐疑と盲信

それから、２か月。暦は秋でもまだまだ日中は暑い。

彼は主に週末、私の家にやって来た。

泊まるときもあれば、泊まらない時もあった。

相変わらずいつ来るかも、帰るのかも…

本当に彼次第で、全てにおいて彼ペースだった。

でも…

私はそれでよかったから好きにさせていた。

そして、たまには気晴らしだと外出することもあった。


親の命令で見合いをする身分なのに女を連れて外に出てもいいのか…

不安でならなかったが、

「こんな時に今までの放蕩ぶりが役に立つなんてな…」

と彼は苦笑するだけだった。

そんなに…

私はあえてそのことにはそれ以上触れないことにした。

昔の事を蒸し返しても、今更どうしようもないことだし、

衝動的に何をしでかすかわからない自分の感情が怖かった。

あの悪夢を再び見たいとは思わない。

そう私にとってはそれは何の意味もない。


お前が必要だ。

その言葉を信じるしか…

彼の言うとおりにするしか…

私たちには未来がなかったから…


週末、今週も１週間頑張った。

重い体を引きずって仕事から帰る。

家にたどり着き、カギを差し込んだとたん携帯が震える。

はっとして、その振動に驚かされながらカギを回し扉を開け、

まず部屋に立ち入る。

玄関で荷物だけを降ろし、その場で携帯を手にしてロックを解除した。