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揺れる恋 めぐる愛
第11章 自覚と不覚
「基本的に平日の夜、1組しか客を取らないんだ……

それで、何か月も先まで予約はいっぱいでな。

静かな郊外の隠れ家みたいなところで、ゆっくり話ができて、

もちろん食事も旨い。

高級なものばかりではないが、ほっとする居心地がいいところで……

ののかを彼女に会わせたかった」

彼が体勢を変えて上に向き、二人で天井を眺める。

「今から連絡してみたら?」

彼が隣でがばっと体を起こす。

「おい、今言ったよな?1日に1組、それも平日だけだって……」

そう、今日は平日ですらない。

「でも、それって本当にわがままなの?」

「休みの日は買い出しに行っていたりして、

いないかもしれないんだよ……」

こちらから顔をそらしてぼそぼそとこぼす。

私も起き上がり、彼の掌に自分の手を重ねた。

彼が私の手を取り直し、指先に唇を寄せる。


「とりあえず、ののかを愛でてもいいか?」

口角が上がり、熱い眼差しで見つめられる。

「なんかはぐらかされてるみたい……」

今度は私が顔をそらす。抵抗虚しく指先に唇で、丁寧に愛撫が施されて……

両方の指を絡め取られ、執拗に手の甲を啄む唇がくすぐったくて

頭を振った。それでも段々と快感を引き出され、

冷えた体温がゆっくりゆっくりと煽られていく。

「ねぇ……?んんっ。」
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