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揺れる恋 めぐる愛
第12章 普通と特別
繰り返しの音が聞こえてまどろみから目覚める。

目覚まし?のわけない。

狭いベッドに違う温もりを感じ、隣に穏やかな寝顔……

自然と口角が上がり胸が暖かくなった。

身じろぎすると身体の気怠さやイタミを感じながら、

大切にされている事をしみじみ噛み締める。

音量が段々上がるけど、私の携帯じゃない……

「ねぇ、ねぇ?鳴ってるみたい……」

彼の耳元でそっと囁いてみる。

ゆっくりと瞼が上がり始めたが、しばらくは放心状態で……

突然ガバっと体を起こす。

彼が慌ててベッドから、脱ぎ捨てた服に手を伸ばしたら……

ドンと派手な音をさせて下着1枚でバランスを崩し床に落ちた。

そこで着信音は途切れて、チッと舌打ちの音が聞こえる。

私はゆったりと身体を起こし、掛物を胸に引き寄せてクスクスと笑った。

彼がこちらに振り向き不機嫌そうに眉を寄せたと思ったら

「お前も来いよ……」

と大きな掌が伸びてきた。

それに抗おうと身を捩ったが狭いところで逃げ場もほぼなく

結局捕らえられ、そのまま床にいる彼に引き寄せられる。

「これで一緒だ……」

慌てて身体を隠そうとする私を、軽々と膝の上に乗せ、

口の端を上げて意地悪く微笑んだ。

「そうね」

私も試しに彼を真似て口の端を上げ、

意地悪く見えるように微笑み返して見せた。
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