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揺れる恋 めぐる愛
第12章 普通と特別
これから続くであろう普通の日常、普通の休日。
ちょっとふざけて俺様な彼を挑発してみた。
「お前、自分の状況が……」
私が握っていた掛物を勢いよく引っ張って奪い取る。
「キャー――」
自分の手から離れたものを未練がましく視界に入れながらも、
両手でなんとか胸だけも隠そうとしてもそんなこと叶うわけもなく
「今更だろうが……」
掛物を頭上に持ち、勝ち誇ったように口の端を上げてクククとからかう。
心もとなくて膝の上の腕の中でもがきながら
必死で体勢を変えてせめて彼に身体を摺り寄せた。
じっと息をひそめると彼の鼓動が耳から伝わって、
ここに彼がいる事実と、このやりとりにすら心が暖かくなった。
「その通り、今更よね……」
暖かい体に包まれて穏やかな気持ちになり声をあげて笑った。
彼もそれにつられて笑い声をあげる。
しばらくして彼が私を片手で抱いたまま、もう片方の手で服を探る。
見つけた携帯に手を伸ばしてつかむ。
たぶん先ほどの着信を確認しているのか……
少し眉根を寄せた。
「ちょっとこのまま折り返してもいいか?」
「私がそばにいてもいいの?」
「ああ、問題ない」
5度目の呼び出し音の後に……
その電話からは、少し息を切らした女の声が聞こえた。
ちょっとふざけて俺様な彼を挑発してみた。
「お前、自分の状況が……」
私が握っていた掛物を勢いよく引っ張って奪い取る。
「キャー――」
自分の手から離れたものを未練がましく視界に入れながらも、
両手でなんとか胸だけも隠そうとしてもそんなこと叶うわけもなく
「今更だろうが……」
掛物を頭上に持ち、勝ち誇ったように口の端を上げてクククとからかう。
心もとなくて膝の上の腕の中でもがきながら
必死で体勢を変えてせめて彼に身体を摺り寄せた。
じっと息をひそめると彼の鼓動が耳から伝わって、
ここに彼がいる事実と、このやりとりにすら心が暖かくなった。
「その通り、今更よね……」
暖かい体に包まれて穏やかな気持ちになり声をあげて笑った。
彼もそれにつられて笑い声をあげる。
しばらくして彼が私を片手で抱いたまま、もう片方の手で服を探る。
見つけた携帯に手を伸ばしてつかむ。
たぶん先ほどの着信を確認しているのか……
少し眉根を寄せた。
「ちょっとこのまま折り返してもいいか?」
「私がそばにいてもいいの?」
「ああ、問題ない」
5度目の呼び出し音の後に……
その電話からは、少し息を切らした女の声が聞こえた。