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揺れる恋 めぐる愛
第13章 動揺と安定
あの大希さんを平然と朴念仁だと言い放つ
彼女の様子を、息を殺して見守る。
対峙した二人の視線が、
静かな火花を散らすように絡まりあっている。
妙な緊張感が部屋に満たされて私もそれに吞まれた。
「ああ、やーめた」
女性が砕けておどけた様子になったが、
彼は押し黙ったままだ。
「ごめんなさい。あんまりにも
可愛いからついついからかってしまったけど、
怒って帰らせたらコレがもったいないし……」
軽い謝罪の言葉が聞こえても
目の前の背中は強張ったままだった。
「あの~」
私は探りを入れるように彼の背中から顔をのぞかせて
その女性と目を合わせようとすると、優しい笑みが返ってきた。
その笑顔に自信を持ち、
固まった背中の彼の後ろから一歩横に踏み出し
「今日はお招きありがとうございます。
佐々木さんと同じ会社の
藤木野乃花(ふじきののか)と言います」
私は名前を名乗り深々頭を下げた。
「初めまして、ようこそ『わがや』へ。
女将の白神(しらが)です。
お聞きになっていると思いますが
今日は定休日なんですけどね。
老婆心で気まぐれな年寄りのわがままに
付き合って下さりありがとうございます」
彼女の様子を、息を殺して見守る。
対峙した二人の視線が、
静かな火花を散らすように絡まりあっている。
妙な緊張感が部屋に満たされて私もそれに吞まれた。
「ああ、やーめた」
女性が砕けておどけた様子になったが、
彼は押し黙ったままだ。
「ごめんなさい。あんまりにも
可愛いからついついからかってしまったけど、
怒って帰らせたらコレがもったいないし……」
軽い謝罪の言葉が聞こえても
目の前の背中は強張ったままだった。
「あの~」
私は探りを入れるように彼の背中から顔をのぞかせて
その女性と目を合わせようとすると、優しい笑みが返ってきた。
その笑顔に自信を持ち、
固まった背中の彼の後ろから一歩横に踏み出し
「今日はお招きありがとうございます。
佐々木さんと同じ会社の
藤木野乃花(ふじきののか)と言います」
私は名前を名乗り深々頭を下げた。
「初めまして、ようこそ『わがや』へ。
女将の白神(しらが)です。
お聞きになっていると思いますが
今日は定休日なんですけどね。
老婆心で気まぐれな年寄りのわがままに
付き合って下さりありがとうございます」