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揺れる恋 めぐる愛
第14章 曖昧と明確
また、メールの着信。

[元気にしているよ。またいつでもメールしておいで]

今度は真帆だった。

寒い部屋だけど、携帯を抱きしめて少しだけ胸が暖かくなった。


その夜は、何もせず早めにベッドの横になった。

もちろんすぐに眠ることはできなかったけど、

横になるだけで少しは違うからと

緩やかなBGMを聞きながら、

あまり考え事をしないように目を閉じた。

そのおかげか、嫌な記憶が一気によみがえって

体調を崩したものの、次の日から仕事には行ける程度だった。


「ののか、おはよう」

朝、会社への道すがら振り向くと

後ろから美咲が声をかけながら小走りで横まで来た。

「おはよう」

いつもなら会うことはなかったはずなのに……

そっか。もしかしたら引っ越したから

タイミングが合うようになったのかもしれない。

二人で並んで足早に歩きながら言葉を交わす。

「この時間なんだね」

「うん」

「私も、これからはこの時間だから

たぶん一緒になれるね」

「うん」

寒くなっただとか、仕事の愚痴とかの他愛無い話してきたので

聞き役に徹してあいづちを打つ。

会社の建物が視界に入った時、美咲の歩調が速くなった。

「また早めに遊びに来てね……」

手を振りながら私を追い越していった。
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