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揺れる恋 めぐる愛
第16章 結末と冒頭
[早く帰ってこい。好きなだけうちにいて

喚いたらいいし、泣けばいい。

しばらくならお前くらい養ってやるよ……]

ああ、やっぱり真帆だ。

携帯を抱きしめてその夜は眠った。


それから会社に行くと、

もういないことは事実としては分かっているはずなのに、

廊下を歩くたびに、

エレベーターホールで待ってるとき、

帰りの駅までの道すがら、

何処かで見ていないだろうかと

きょろきょろする癖は治らなくって…

そのたびに違うことを突き付けられて

うつむいてしまう。


やりたいと思っていたはずの仕事も、

興味がもてなくなってしまった。

それでもまだ、仕事をしているときはよかった。

夜や休みになると、一人だということが身に染みて

悲しみがよみがえってくる。

そうしていると玄関にごそごそとした物音がして

もしやと淡い希望を抱いて駆け出していくと、

ポストからダイレクトメールが

コトンと音を立ててボックスに落ちた。


私は、連さんだけでなく、

大希さんにまで捨てられてしまっただろうことで……

心が完全に折れてしまった。

一人ぼっちで目標も自分の存在すらあやふやなまま、

この地で生きることにつかれた。


その年度の終わりに大希さんの後を追うように退職した。

そのまま引き寄せられるように、真帆の家に転がり込んだ。

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