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第16章 結末と冒頭

真帆は、変わらなかった。

大袈裟に憐れむこともなく、慰めることもない。

蓮さんの家族が、

昨年の春頃に現在入院しているが、

真帆の勤める精神科病院のデイケアを利用するかもしれないと

問い合わせがあったらしい。

結局それきり連絡はなかったが、

守秘義務もあるから、

まさかメールに書くこともできなかった。

だから、お前のせいで何かがあったわけじゃないし、

お前は悪くないはずだと、

知っている事実だけ伝えてくれた。

つまり、精神的な何かが彼を飲み込んで

何処かに突然入院したのだろう。

なら、引き金は間違いなく私が引いたことになるはず。

あの時、確かに彼を否定して拒絶したのだから……

それでも、先輩がそんな事で、

悩んでいたなんて知らなかった。

やはり私はそういう点でも、

そういう専門職に向いていなかったから、

国家試験に落ちたのだろうと思った。

先輩が元気で心穏やかに暮らしていけたらいいなと、

祈るくらいしかできることはない。

今は私自身が、闇に飲み込まれそうなギリギリの所で

踏みとどまっているのだから……

おかしくなれば真帆が、

病院に引きずってでも連れて行くのだろうし。

まだなんとか大丈夫ということなのだろうか？