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揺れる恋 めぐる愛
第3章 理解と誤解
主任がずっと私の事を見ていたの?

私は仕事に一生懸命で、その視線を感じることはなかった。

そんなにあちこちですれ違っていたのだろうか?

体調が悪いのがわかるほど、こちらを見ていたのだろうか?


元々何かを考えられるような頭じゃないのに、

不可解な主任の言動が気になる。

痛い頭の片隅に、どうして主任は私にかまうのだろうか?

という疑問が浮かんだ。

私に執着するか訳がさっぱり分からなくて……

ズキズキ……

また頭が痛くなった。

とりあえず今、もう何か複雑な事を考えるのはよそう。

普通に考えて答えの出ないことを、こんな体調の時考えるのは不毛だ……

しばらくは私を支配する痛みにただ歯をくいしばって耐えた。


朦朧とする意識の中、優しく頭を撫でられているのに気がついた。

そしてふと懐かしい香りに驚き……

涙が出た。

それはたぶんあのしゃぼんの香り……

さっきまで主任がいたはずなのに、

どうして先輩の纏う薫りがするのだろうか?


私の危機を察知して来てくれたことが嬉しくて……

その愛おしい掌に、目を閉じたまま手を伸ばした。


掌が動きを止める。

少しひんやりとしたソレに自分の掌を重ねると心がじわっと温かくなった。


「せんぱい……」


もう何も怖がることはない。こうやって先輩も来てくれた……

私はそのままもう一度無意識の世界に呑みこまれた。
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