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揺れる恋 めぐる愛
第3章 理解と誤解
10月の終わりの週末、久々先輩の元を訪れた。

金曜日の夜新幹線で帰ると、先輩が駅まで迎えに来てくれた。

新幹線に乗り込むとき、到着時間をメールしておいたから……


私が改札を出て車のロータリーまで降りると、先輩の車が見えた。

私に気づいたのか、車から降りて手を上げる。

たまにメールはしたけど……

あのお盆休み以来だった。

お互いがお互いの姿を確認すると、足早に歩いて近づいていく。

「先輩……」

私は先輩の前に立ち、その目を見つめた。

「ただいま、野乃花」

口角が上がって柔らかく微笑む。

「先輩、それ私のセリフですよ?」

「うん。でもね、僕のセリフでもあるから……」

私の荷物にすっと自然なしぐさで手を伸ばして、受け取る。

先輩は手袋をしていた。

荷物を持つ先輩に続いて私は車まで歩き、助手席に乗り込んだ。


静かな車内。車が静かに走る……

しばらくして雨が降り始める。

「雨ですねぇ」

「あ~ぁ、天気予報外れたなぁ」

「あっちは晴れてました。

ニュ―スで紅葉が始まっているって言ってました」

私はそのニュースを聞きながら、先輩の誕生日がもうじき来る。

そんなことを思った。
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