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揺れる恋 めぐる愛
第4章 愛しさと切なさ
独りになりたかったのは、何もかもおしまいにしたくなかったからで……

冷静に考えれば選ぶべき人は蓮先輩だということを私はわかっているはず。

それでもその感情を超えた怒りが自分を支配するのを、

今留める術はなかった。

怒りが収まらないままその感情が溢れ出ないように押さえ込んでいると、

しばらくして気持ち悪くなり吐き気がした。

人って怒りの感情に任せると……

こんなになるんだと思いながら、たまに湧き上がる嘔吐感に堪えた。


いつもなら改札口で手を振って別れるのに、

その夜は私の乗車券と特急券を買ってから

自分の入場券も買い、改札を通りついてきた。

新幹線のホームで寂しそうに指輪を握りしめた先輩は、

諦めたように私を手放した。


「先輩。連絡はします。本当にごめんなさい……」

「別れるなんて言わないよね?そんなこと言わないよね?」

先輩は滅茶苦茶不安な顔をして、泣き出しそうだった。

「先輩……」

それでも私は先輩を安心させられる言葉が思いつかなかった。


お互い視線を逸らすことないまま、目の前で無情にもドアが閉まり、

二人を引き裂く。

ゆっくりと動き始める車内で動かない先輩を見つめながら、

離れていくのは躰だけなのか心もなのだろうか……

と思う。

とにかく今はこの怒りが収まるのを待つしかない。


荷物を抱えたままとぼとぼと座る席を探すために歩き始めた。
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