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揺れる恋 めぐる愛
第4章 愛しさと切なさ
それからしばらくして……

私はバス停に立っていた。

あと、5分もしたら駅行のバスが来る。これに乗って帰ろう。


周りは男女が二人で寄り添って歩いている。

駐車場の所々にある木々に電球が輝いていて、

この場所全体が宝石箱のよう。

そして、あの時と同じように私は腕を握られた。

握られた瞬間のその慣れた違和感に、誰なのか見なくてもわかる。

顔を伏せたまま、身構えて唇をかむ。


「藤木」

「……ほおっておいてもらえませんか?」

後ろから声がしたが、振り向かずにそう答えた。

その低い声に自分でも驚いた。

「どうしたんだ?お前らしくもない……」


「……何が私らしいんですか?

黙って主任の言いなりになるのが私らしいんですか!?」

主任が現れたことにいら立ち大声でヒステリックにまくし立ててしまう。

周りの人が私たちを白い目で見つめる。

「いや……」

「あなたの言うとおり、私はただの臆病者です。

もう……

もう……」

そこで、大きな声は突然出なくなり途切れてしまった。

「……ともかくこい」

私が叫ぶように話す途中で握った腕を強く引く。

そして、いつものように引きずられる……

一瞬声を上げて人の目に留まろうとも思った。

でも……

思いとどまった。

主任に連れて行かれたのは……

やはり、あの時と同じ店のチェーン店だった。
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