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揺れる恋 めぐる愛
第4章 愛しさと切なさ
「お二人様ですか?」

「ああ。プライベートスペースは開いてるか?」

「はい。こちらです。ご案内します……」

俯いたまま主任に手を引かれて歩く。


「では、ごゆっくり。

御用の時はこちらで……」

案内役はボタンを指さし、頭を下げてその場を去った。


主任はゆっくりと手を離して……

「とりあえず座れ……」

私の躰をスペースの奥に向かって押し込んだ。

私は無言で仕方がなく2人掛けの椅子の思いっきり端に腰かける。

当然のように主任は、少し距離を開けながらも……

隣に座った。


「ここなら、大声を上げさえしなければ、誰にも聞こえない。

何をあんなところで取り乱している?どうした?

何があったんだ?」


私たちは恋人でも、友人でも、知人ですらない……

それなのにこんな勝手な男になんで自分自身ですらわからない

このモヤモヤとした思いを吐露しなければならないのだろう……


「何が気に入らなかった?

思ってることがあるなら俺にははっきり言え……」

私は口をつぐむ。気に入らない?

気に入らないことばかりだ……

この人には何も語りたくない。

お互いを沈黙が包み込む。


それでもやっと口を開こうと息を吸った瞬間、

「藤木、そんな奴やめてしまえ!!」

と唐突に言った。
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