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喪われた記憶
第9章 同棲宣言
『…朝起きたら、隣には誰もいなかった。』
「…え」
彼の声が震えている。
『…机の上には一枚の封筒…。
嫌な予感しかしなかった。』
「…じゃあ、それは」
―――私が書いた…別れの手紙?
「そんな…どうして…」
『…どうして?
そんなの、俺が知るかよっ!!』
ガタッと音を立てて立ち上がり、その反動で近くにあったグラスが床に落ちて割れる。
―――ガシャーン…
彼の怒鳴り声とガラスの割れる音に思わずびくっとなる。
『この手紙を書いたのはお前だろ!?
俺はあんなにお前の事が好きだったのに!!
6年経った今もまだ忘れられない……っ。
なのに…お前は俺のことを忘れてしまったのか!?
こんな紙切れ一枚で終わらせるつもりだったのか!?』
彼の全身から怒りが感じ取れる。
それと同時に悲しみも……。