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喪われた記憶
第9章 同棲宣言
『………!!』
彼の動きが一瞬止まった。
それを感じた私は更に腕の力を強める。
「…生憎、私にはその時の記憶がないみたいです。
私はあなたに何も言ってあげられない。
でも…その時と同じようにまたあなたと一緒に過ごしていれば、
何かしら思い出せるんじゃないかと思います。
それに…あなたには…なんだか笑っていて欲しいです。」
そう言った途端、目の前が真っ暗になった。
目隠しをされたわけじゃない。
これは…この優しい香りは…。
今度は私が彼に抱きしめられていた。
『……ありがとな…』
そう、耳元で囁かれた。
私も彼の背中に腕を回し、それに応えた。
なぜだか…とても懐かしい気分に包まれた。