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喪われた記憶
第11章 清白家
車に乗ること30分………
私達は叔父さんと叔母さんのいる家へとやって来た。
「ただいま~」
『あぁっ!りーちゃんだ!…とどなたですか?』
玄関から飛び出してきたのは、妹の夏恋(ナコ)。
今は16歳。
「…あ、この人は…『僕は月琴さんの旧友です。』
説明に戸惑う前に被せてくれた。
『…ふーん。そうなんですか。
姉がお世話になってます。』
『いいえ。』
「なっちゃん、叔母さん達いる?」
尋ねた瞬間夏恋の顔つきが変わった。
『あっ…りーちゃん!
昨日どこ行ってたの!?』
「…えっ!?」
『りーちゃんから連絡がないって大騒ぎしてさ。
パニックになってるんだよ!
一緒に探すように言われて私もここに戻ってきたわけなんだけど。』
「………。」
私は黙って紫苑を見上げる。
紫苑は私から視線を逸らした。
そんな様子を見た夏恋は、
『まぁ…なんとなく分かったからさ。
りーちゃんは叔母さん達に早く顔見せてあげて?』
「…うん。そうするよ。
悪いけど…ちょっと待ってて。」
『別に急がなくてもいいから。』
「ん。ありがと。」
私は急いで叔母さんたちの元へと向かった。
夏恋と紫苑が何を話しているかなんて知らずに―――。