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喪われた記憶
第11章 清白家
―――バタン!
「叔父さん!叔母さん!」
その声に部屋にいた二人がはっとした表情をした。
『月琴っ!』
『りーちゃん!』
ぎゅっと抱きしめられる。
『心配したのよ~!』
『あぁ…何もなくて良かった。』
「…ごめんなさいっ!」
あぁ…心配かけちゃったな。
気をつけなきゃ………。
「…ごめん、昨日は忙しくて連絡できなかったの。
ケータイが使えないところにいたから電源も落としてて。」
『そうならそうと、あらかじめ伝えておいてくれればよかっただろう?』
「急に入った用事だったの…。
今度からはちゃんと連絡するから!」
『もぅ…。
とにかく安心したわ~
まぁ、せっかくだからゆっくりして行きなさいね。』
その一言に、紫苑を思い出す。
「あっ…あのね!
二人に…折居って話したいことがあるんだけど。
いいかな?」
ぴたっ…と一瞬二人の動きが止まったが。
『ええ…いいわよ。』
『珍しいなぁ…。
まあ、一旦戻ろう。』
そう言って、私にいつもの笑顔を向けてくれたのだった。