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喪われた記憶
第12章 月琴の過去
雷に撃たれたみたいに…すごい衝撃を受けた。
「なこだよ!りーちゃんっ…なこだよ……っ」
涙が止まらない。
後ろからおじいちゃんとおばあちゃん、そして、叔父さんと叔母さんが入ってきた。
みんな目が赤かった。
『…二階から飛び降りて、脳震盪を起こしたんだそうだ。』
『その衝撃で…私達のこと…おぼ……おぼえ……っ』
そのまま叔母さんが泣き崩れてしまった。
「………………。」
私はもう言葉が無かった。
最後の望みをかけて、りーちゃんに聞いた。
「…りーちゃん。
青瀬紫苑って人知ってる?」
『…ごめんなさい。さっぱり……』
その答えを聞いて確信した。
もう元には戻らない。
りーちゃんは、もう心から笑ってくれない。
りーちゃんを救える最後の術をなくしてしまった。