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喪われた記憶
第12章 月琴の過去
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「…誰かに話すなんて考えもしなかったよ…」
椅子に座ってポツリと呟く。
そして寝たままのりーちゃんを再び見やる。
彼に話したのは衝動的だったと思う。
話すつもりはなかった。
りーちゃんに記憶が戻ってしまったら…
それを考えるだけでぞっとする。
だから、彼を遠ざけようとした。
でも。
それでは何も変わらないかもしれない…
ふと、そう思った。
別に変わらなくてもいいのだけれど。
これは何かの前兆なのではないか。
元恋人が現れる…
願ってもない機会なのかもしれない。
そして…
りーちゃんが、心から笑ってくれるようになるかもしれない。