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喪われた記憶
第15章 過去を辿って
「今どこに行ってるの?」
『屋上』
それもそうか、ずっとさっきから階段を上がり続けているのだから。
「そこで何してたの?
……って…まさか」
『ま、用途は中庭とほぼ同じだな。』
楽しそうに言うところじゃない。
青春の度が過ぎてる。
「…紫苑ってそんなに変態だったのね」
『月琴もだろ?』
「私は違います」
ピシャリと言い放ち、
紫苑を抜かして階段を上がっていく。
『おい。
あんまり走らないほうがいいぞ。』
そんな声が後ろから聞こえたけど、がん無視。
トントン…とリズムよく階段を上がっていく、筈だった。