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喪われた記憶
第16章 忍び寄る影



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「ありがと…。」


『ほんとに一人で行くのか?
 危ないだろ?』


「………………。」


『俺が車で送って行ってあげるよ?』


「……誰のせいだと思ってるの?」






最近よく紫苑は車で私のことを送ってくれる。


正しく言えば送ろうとしてくる。


私がいいから、と言っても


『いいや、俺が送る。
 しっかり見届けて安全を確認したい。』


の一点張り。


それでも断った時には……



無理矢理動けないようにされる…って訳。









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