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喪われた記憶
第17章 悪夢から正夢へ





『………このまま離したくないけど』



「…うん」



『………行かなきゃダメだから』



「……………うん」






そうだ。



私が紫苑の邪魔をするわけには行かない。






「…気をつけてね」



『…帰ってきたらその分取り返すから。』



「……えっ!?」






驚く私を見てクスクスと笑う紫苑。



そんな彼を見て、私も笑った。






『…じゃ、行ってきます。』



「行ってらっしゃい。」




―――チュッ………





「…………っ!!」



『大人しく待ってろよ?』






私を骨抜きにした彼は、



颯爽と家を出た――――。






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