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喪われた記憶
第23章 絶望の時





―――ヒュゥゥゥゥゥ……






「……ッハァ…ハァ……ッ」




このマンションはそこらの建物より少しばかり高い。



22階……



少し怖いかな……



私は手に持っていた紫苑のパーカーを羽織った。



フードも目深に被り



たくさん息を吸う。



こんな時だけど凄く安心する。



「………いい匂い」



どうせ会えないんだから



パーカーくらい道連れにしても



バチは当たらないよね。



この香りに包まれて死ねるのなら



それこそ本望だ。










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