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第5章 好奇心

 シャワーを浴び終えて、冷蔵庫の中の冷えた麦茶をコップに注いでいたら父が帰ってきた。

 「おかえりなさい。
お母さん、カレー作ってくれたよ。
温める?」

 私は父に話し掛けた。

 「勉強があるなら、そっちを優先にしなさい。
お疲れさんのビールでもしながら適当にやるさ」

 「そう。なら部屋に居るわね」

 私はいい娘を演じる。
父にとって子供が勉強する事は何よりの孝行らしい。
兄は医学部を卒業し、医者の卵となり、父の自慢の息子となる。
私はそれなりでいいらしい。
どうせ嫁に行く娘にはそこまで期待もしないのだろう。
それでも嫁に行くまでの間は、それなりの出来る娘で居なければならない。
それさえ裏切らなければ父は私に満足するであろう。


 母も看護師として、プライドを持って働いている。
夜勤のある病院で、父と協力しながらその仕事を全うしょうとしている。
兄に掛けた学費は、両親の嬉しい負担になった。
この先父も母もまだまだ働くであろう。
授かった子供の学費という負担の為に親の責任を果たしてゆく。
表向きさえ優等生で居たら、何でも許してくれそうな、両親の元で私は裏に回ればろくでもない事を企んでいる。


 お疲れさんのビールを飲む父の背中を見て、私は勉強をする為に部屋に入る娘になる。

 ビール一本とスーパーで売っている三角チーズをつまみに1日の労をねぎらう父。



 ごめんね。
 お父さん。
 優等生も疲れるんだわ。
 
 私は心の中で呟いていた。


 欲を優先したい私の行き先は当然カオスのブログ。

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