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藍の果て
第1章 死の惑星

少年は小さく呟いた後に、暫く瓦礫を見つめているようだったが、リオの前にしゃがみ込む。
リオよりはずっと年上そうに見える少年は真っ直ぐに見つめたまま、リオの小さな肩に手を置いた。
「良いか?おい、良いか。よく聞け。これは、お前にとって絶対に大事な事だ」
溢れて止まらない涙を、濡らしてゆく頬を何度も指で拭ってやりながら少年は続けた。
「異端者のお前には、ここは辛いだろう。ここは、力が強い奴らが好き放題する様な場所なんだ。
DEADEND(デッドエンド)。この惑星はそう呼ばれてる。女や子供は、生きにくい場所だ。
お前が生きる事を望むなら、俺が生き抜く術を叩き込んでやる。だから……
お前は、〝男”として生きろ」
「男、として?」
静かに瞳を細めた少年は、しっかりと頷く。リオを見つめたままに問いかけた。
「どうする?」
リオは小さく、だが迷っている暇などないと意思を込めて頷いた。
「わ、たし……、いき、たいっ!生きたいよ、お兄ちゃん」
震える声で全身に力が入りながら訴えたリオの言葉を受け止めるように少年も頷いた。
彼女の小さな体を包むように抱きしめながら。
その小さな存在を安心させるように。
「お兄ちゃん、なんて柄じゃない。俺はデイジー。デイジー・クルスだ」
少年は名前を彼女の耳元で小さく囁いた。

