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~花の玉手匣~
第5章  蒼い牙に抱かれて

陛下はぼくを、まるで姫君を抱くような形で軽々持ち上げ、そっと寝台へ仰向けに寝かせた。

そしてご自身もぼくの横に側臥し、ふたりの上に羽毛の衾をかぶせた。

昼間、特に執務中の陛下は禁欲的で仕事に厳しく、ぼくを一介の内官として事務的に扱う。

もちろんぼくも職務に専念する。陛下のそば近くで働けることに喜びと誇りは常に感じているが、決してのぼせることなく、真摯に時を過ごす。

ふたりの間に浮かれた空気は存在しない。

だからその分、その穴を埋めるように、夜の陛下は蕩けるほどに激しく甘くぼくを求める。ぼくは一夜で何度も喘がされる。

でも――

今日のように不調の日は、ぼくが何も言わないのに陛下はすぐに気づいて下さり、いつもの激しさとは一転、慈母のような柔和さでぼくに接する。



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