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~花の玉手匣~
第1章 皇子の名
結い上げた髻、
胸元や手首の装飾品、
引きずるほどに長い裾――
久しぶりの盛装に身を包み、玉蘭は、対面の間に設えた毛氈に座していた。
緊張で頬が引きつっている。
「上意である」
鳳凰殿から遣わされた文官がものものしく口を開いた。
玉蘭は傍らの乳母から皇子を受け取り、しっかりと抱いたまま頭を垂れた。
勅書が読み上げられる。
それは意訳すれば、このたび誕生した皇子を皇帝の第一子と認め、玉蘭をその母として是認する。それゆえ、ここに皇子としての名を授ける、というものであった。