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堕散る(おちる)
第20章 step20十四段目…秋
「うん、良くなりました。」

ソースを元のフライパンに戻す。スープを温める。

「出来たよね?」

お皿に盛り付け運んでいく。冷蔵庫からオードブルとシャンパンを出す。

「乾杯だよ。コルク抜くのやってみて…」


ん…ん…

「ルリ怖いの?」

「溢しちゃいそうで、」

「思い切り親指掛けて…」


ん…

ポンっ…シュワワ〜

グラスに泡が拡がる。
早く大人になってハルトと一緒に乾杯したい。

「かんぱーい」

グラスのぶつかる音が響く。

「ハンバーグ美味しっ」

「ミモザはどう食べるんですか?」

「パンに乗せるんだよ。」

「生ハムもトマトも美味しいですよ。」

「トマト、縦割りと横割りどっちが美人?」

「美人かはわかりませんが、切り方だけで味が変わりますね。

どっちか決められません。」

「ルリは何も決めらんないからなぁ
俺は横割りのが美人で美味いと思う。」

「ハルト、料理人になったらいいですよ。
センスあるし、味覚もいいし…」

「俺、仕事もうあるよ?」

「そ、そうですけど…」

「事務所に次はキッチン作るか?」

「狭くなっちゃいますよね。」

「そうだね。」

楽しく話して食事する。
アタシもハルトもそれに飢えてたのかもしれない。
些細なひとときがとても幸せに感じた。
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