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堕散る(おちる)
第22章 step22十六段目…初冬
時間をかけたぶん本当に美味しくできた。

「食べるのはあっという間だな。」

ハルトの言う通りだけど、料理から一緒に作り、話しながら食べる。

些細なことだけど本当に幸せだと感じる。

「茶碗蒸しは昼より固くなったよな?」

「そうですね。でも美味しいですよ。」


楽しい食事の時間を過ごした。


「明日は早いから、もう寝るよ?」

ハルトに連れられて寝室にいく。

日付が変わったらすぐにハッピーバースデーと声を掛けようと思っていたけど、朝イチにした。


ベッドに入ると、ハルトが胸やお尻を撫でてくる。


それは欲からでなく、触れて安心して眠るためのような、優しく切ない感じもあった。

一人で生きてきたハルトの苦労は想像もつかない。
今、できることを出来る限りしたい。


「ルリなんか話をして?」

「どんな話がいいですか?」

「寝る前に本を読んだり話を聞かせてもらったりするんだろ?
そんな感じの」


「少し悲しいお話でもいいですか?」

「うん…」

「泣いた赤鬼って話です。」

「それでいいよ。」


「あるところに青鬼がいました。」


「いきなり赤鬼でなく、青鬼か?」

「そうです。」
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