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堕散る(おちる)
第23章 step23十七段目…冬
「何かおばあちゃんみたいだな。」

アタシは、マフラーとお揃いの毛糸を買ってきた。
バレンタインに向けて手袋を編んでいた。

編むところが見たいと言われたので仕事場でも編んでいるとハルトが言い出したのだ。

「そうですか?」

「うん。」


編み物もやると言うかと思ったけど、さすがに面倒と言っていた。

それでもちょこちょこ隣にきて覗きこんだりするのだけれど…


ハルトの仕事は忙しい時期のようで、休みも合わずゆっくり会える日はなかなか作れなかった。

「早く休みにならないかしら。」

「ルリは怠けるばっかだな。」

会える時間が少ないからなのに、そうとは言えなかった。




バレンタインより早くに手袋が仕上がると待てないと言って、その日からはめて帰った。



平穏な日々、あと一年したらハルトとずっと一緒に居られる。

そんなことばかり考えていた。


バレンタインの当日は手作りのチョコレートを用意した。

でも、やはり仕事場で渡し、一緒に食べるだけとなった。


ハルトの家にいくこともなくこの季節は終わっていくのだ。


「ルリ、お返しをあげる。一緒に食べよう。」

ホワイトデーにはハルトがプリンを作ってきた。
分量を覚えていたのに驚いた。
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