この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
キミといる場所
第10章 蜜熱

目を覚ましたら、
キスの続きをねだってみようか…
そんな甘い気持ちは打ち砕かれた。
長谷川くんは
なんと
インフルエンザだった!
熱は40度まで上がり、
私は慌てて休日診療の病院に駆け込む。
翌朝ようやく熱が下がり始め、
昼にはカラダを起こせるようになった。
「貴子さんのお粥、まだあるよ」
「うん、食べる」
口を開けて小鳥のように待つ長谷川くんは
可愛らしかったが、
「もう自分で食べられるでしょ」
「あ、冷たーい」
甘やかさないのだ。ふふん。
「菜緒さんに…感染っちゃったよね」
「あー、そっか、感染ったかな?」
「だって、あんなことしちゃったし」
スプーンをくわえて覗きこまれると
夕べのキスを思い出し
みるみる赤面してしまう。
「こないだの夜の事…ごめん」
「あ…」
「ちゃんと謝らなくちゃって思ってた」
「長谷川くんが謝ることじゃないよ」
赤くなった頬から、血の気が引いていくのがわかった。
話さなくちゃ、全部。
「でも…菜緒さん、
男の人で恐い思いをしたことがあるんじゃないのかな。
それなのに…」
ああそうか、この人は鋭いな。
そして優しい。
「聞いてほしいことがあるのね…」
この街に来た理由、
どう過ごしてきたか、
そして長谷川くんと出会ってから。
途中涙ぐみ、言葉につかえる私をじっと見つめ、
長谷川くんは最後まで黙って聞いていてくれた。
「許せないよ…そいつも、元カレってやつも…」
普段の温厚な長谷川くんとは思えないような、
青白い怒りのオーラが見えた気がした。
それにたじろぎながら感謝する。
私のために怒ってくれてるんだね。
「過去に起きたことはね、もういいの」
手をとった。
熱が引いたせいか、それとも怒りのせいか、
冷たい手のひらに両手を重ねる。
「私たちのこれからの事…」
ずっと温めてきた想いをそっと手のひらに移すように
「私は、長谷川くんが、好き」
ようやく言えた。
キスの続きをねだってみようか…
そんな甘い気持ちは打ち砕かれた。
長谷川くんは
なんと
インフルエンザだった!
熱は40度まで上がり、
私は慌てて休日診療の病院に駆け込む。
翌朝ようやく熱が下がり始め、
昼にはカラダを起こせるようになった。
「貴子さんのお粥、まだあるよ」
「うん、食べる」
口を開けて小鳥のように待つ長谷川くんは
可愛らしかったが、
「もう自分で食べられるでしょ」
「あ、冷たーい」
甘やかさないのだ。ふふん。
「菜緒さんに…感染っちゃったよね」
「あー、そっか、感染ったかな?」
「だって、あんなことしちゃったし」
スプーンをくわえて覗きこまれると
夕べのキスを思い出し
みるみる赤面してしまう。
「こないだの夜の事…ごめん」
「あ…」
「ちゃんと謝らなくちゃって思ってた」
「長谷川くんが謝ることじゃないよ」
赤くなった頬から、血の気が引いていくのがわかった。
話さなくちゃ、全部。
「でも…菜緒さん、
男の人で恐い思いをしたことがあるんじゃないのかな。
それなのに…」
ああそうか、この人は鋭いな。
そして優しい。
「聞いてほしいことがあるのね…」
この街に来た理由、
どう過ごしてきたか、
そして長谷川くんと出会ってから。
途中涙ぐみ、言葉につかえる私をじっと見つめ、
長谷川くんは最後まで黙って聞いていてくれた。
「許せないよ…そいつも、元カレってやつも…」
普段の温厚な長谷川くんとは思えないような、
青白い怒りのオーラが見えた気がした。
それにたじろぎながら感謝する。
私のために怒ってくれてるんだね。
「過去に起きたことはね、もういいの」
手をとった。
熱が引いたせいか、それとも怒りのせいか、
冷たい手のひらに両手を重ねる。
「私たちのこれからの事…」
ずっと温めてきた想いをそっと手のひらに移すように
「私は、長谷川くんが、好き」
ようやく言えた。

