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その瞳に…
第16章 胸騒ぎ
一人が叫ぶと、もう一人が上着を脱ぎ、それを舞奈の口に巻こうと顔の近くに持ってきた瞬間。

「お前ら何してる!?」

茂みの向こうから、怒声が聞こえ、男性が現れる

(っ…せん、せ…?)

その男性の顔を確認した瞬間、舞奈は大河と確信し放心した。

男達は、ヤベっといい舞奈から体を離し逃げ始める。

「こら!待ちなさい!」

大河の後ろから、佐田が逃げる男達を追いかけていく。

「舞奈!大丈夫か?何かされたか?」

放心した状態の舞奈は、大河に声をかけられ、頬に触れた手の温かさにやっと正気を戻し、大河に抱きつき、止めどなく涙を溢れ出す。

「せんせ!こわっ…怖かった!…せんせぇー!」

大河はしがみつく舞奈を、力強く抱き締め返す。

「舞奈。もう大丈夫だから。僕がいる…」

悲痛を込めた声で、それでも大河は舞奈を落ち着かせようと声をかける。

「ずっと!ずっと、先生を呼んでた!先生以外なんてやだった!!」

舞奈は大河の胸に顔を埋めて、恐怖を全て吐き出すかの様に泣きじゃくった。

「うん…ごめんな…間に合って良かった…」

大河は舞奈の悲痛を全て受け止めながら、優しく頭を撫でる。

どれくらいの時間がたったかわからないが、舞奈は大河に抱き締められ、思いきり泣いたお陰で、やっと心が落ち着いてきた。

「先生…助けてくれてありがと…」

スンスンと鼻を啜りながら、顔をあげ舞奈は大河にお礼を言う。

「お礼なんていらないよ」

大河は落ち着いた舞奈を見て、笑顔を見せ、また頭を撫でる。

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