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第20章 戻ってきた日常

「綾部さん。どうしたんですか？遊んでないで早く帰りなさい」

教師として対応する大河、舞奈は、

「すみません」

と、頭を下げる。

「すみません、高校が懐かしくて、つい話し込んじゃいまして」

そんな舞奈の横で、由美は外様モードで大河に話しかける。

「始めまして、舞奈の従姉妹の由美と言います。今日は、由美を向かえに来たんです」

満面の笑みを浮かべて、由美は大河に挨拶です。

普段は性格が正反対の為か、あまり似てない兄弟だが、営業スマイルの時だけは、由美は少し啓介に似ている。

由美に挨拶され、大河もそれに答える。

「そうですが。ありがとうございます。僕は科学担当の山村と言います」

大河も由美に合わせ、営業モードで挨拶をする。

由美はその反応に、へぇ…と小さく呟くも、また笑顔に戻る。

「お手数お掛けしてすみません。じゃあ、行こうか舞奈」

「あ、うん。じゃあ、先生さようなら」

由美に促され、舞奈は大河に挨拶し、助手席側に回る。

「はい。気を付けて」

大河も挨拶を返し、戻ろうと体を反転させると、すぐ後ろで由美の囁きが聞こえた。

「舞奈を助けてくれて、ありがとうございました。あと、舞奈をよろしくです」

その囁きに、大河は振り返らずに小さく囁く。

「いえ。こちらこそ、舞奈をお願いします」

「了解です」

由美の返答に、大河は少しだけ微笑み、正門へ戻って行く。