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その瞳に…
第29章 大人と子供
 舞奈は家を出ると、走りながら由美の家に向かった。

 大河との待ち合わせの時間はまだ30分もある。

 走って由美の家に行っても、5分位で着くのでまだまだ時間はタップリとあった。

 それでも、早く大河に会いたい気持ちが、舞奈の体を急かし、足早にさせる。

 今日、大河の家に泊まったばかりだというのに、それでもまた泊まる事が出来るのが嬉しい。

 今日から泊まらせてくれると言う事は、大河は明日は休みなのだろう。

 なら、誰の目も気にせず、ずっと大河と一緒にいれるのが舞奈は嬉しかった。

 早百合達とは少し違う愛情かもしれない。

 けれど、自分は確かに今、大河を愛している。

 一分・一秒でも長く大河の傍にいたい。

 そう思うからこそ、舞奈は由美の家までの道を急いで走った。

 由美の家に行くと、玄関で出迎えてくれた由美は、ゼーゼーと息を切らす舞奈を呆れた顔で見つめながらも、寒いからと家に上げた。

 「・・・取りあえず、これでも飲んで落ち着け」

 由美はそう言いながら、温めに入れたお茶を舞奈に出してくれた。

 「ありがとう」

 息を整えながら、舞奈はお礼をいいお茶を一気に飲み干す。

 「取りあえず、そんだけテンションが高いって事は、渡辺の事はもう大丈夫って事でいいの?」

 由美も気にはなっていたのだろう、舞奈が飲み干したコップに、お茶を継ぎ足しながら問いかけた。

 「あ、うん。もう私に付きまとう事はないって。心配してくれてありがとう」

 舞奈はお代わりを受け取りながら、由美に心配をかけたお礼を言う。

 「まあ、それならいいけど。結局どんな対応をとったか知ってんの?」

 その問いかけに、舞奈はう~んと悩む仕草をする。

 一応は知ってはいるが、それは話しても大丈夫なものなのだろうかと、考えてしまう。

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