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その瞳に…
第38章 冬休み
 「まあ、もし今の学校の生徒じゃないにしても、教師が未成年と付き合ってるなんて知られたらどうなるかしら。しかも、私立なんでしょ?クビは確定よね」

 『クビ』その言葉に、舞奈の体に緊張が走る。

 既に一度訪れたクビの危機は佐田のお陰で、黙認され免れた。

 しかし、外部からのリークとなると流石に校長へ話が言ってしまう。

 その場で大河への事実確認があるのだろうが、否定しても疑惑が残ってしまい、今年度一杯の赴任が冬休み中で契約を切られる恐れもある。

 女性もそれを解っている為、強気な態度でいられるのだろう。

 「まあ、私への返事をちゃんと考えてくれれば、私は何もしないわよ?高校生に手を出したのも、たまには毛色の違うのと付き合いたくなったんだろうし?」

 それでも黙っている大河に、女性は大河が観念したと思ったのか、とても楽しそうにもう一度腕に絡みつき始める。

 しかし、その瞬間大河は思い切り腕を振り、女性の体を突き放した。

 「なっ!?――――――っ!!」

 一瞬何をされたか理解できなかった女性が、大河を睨もうと顔をあげた瞬間、女性の顔は恐怖に固まった。

 (あ・・・)

 その表情で、大河が今どんな表情をしているのか舞奈は一瞬で悟る。

 そして、じっと大人しく見ていた絵麻も解ったのだろう、舞奈の肩に置いていた手に力が入るのが解った。

 大河は一度だけ小さくため息をついた後、怯んだ女性を見下ろす形でゆっくりと怒りを込めた声音で話しはじめた。

 「別に言いたければ学校だろうと、教育委員会だろうとどこにでも言えば良い。それでクビになっても僕は別に構わない」

 大河の怒りの声音に、女性はビクっと一瞬肩を震わせ、大河から視線を外す。

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