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その瞳に…
第8章 日常
(腰に力入んなくて…階段、辛い…)

舞奈は二階建てアパートの階段を、手すりに捕まりながらゆっくり登っていた。

あの後、立てなくなった舞奈を大河はバスルームへ連れていき、体を綺麗にしてくれた。
もちろん、何度か手でいかされたりもしたが。

そして、啓介の住んでいるアパートの前まで送ってくれた。

ヒリヒリするあそこに力の入らない足腰。二階の階段から一番遠い部屋にいくのすら、今日は辛い。

やっとの思いで啓介の部屋までたどり着く。

(今9時前…)

この時間ならば起きてるかな?と思いチャイムをならす。

キンコーン

『…はい…』

インターホンからは少し不機嫌そうな声が聞こえる。

「あ、私。舞奈」
『ああ、はいよ』

少し待つとドアの鍵が開く音とともに扉が開かれた。

「いらっしゃい」

少し眠たげな顔をした女性が舞奈を出迎える。

「ごめん、寝てた?由実ちゃん」
「や、原稿してて徹夜…」

由実と呼ばれた女性は大きなあくびをしながら答える。

啓介の妹、由実は大学に通う学生。
交通の不便な実家から、啓介と由実は家でて二人暮らしをしている。
由実の趣味は同人活動で、BL・GL・ノーマルとその時々によってジャンルが変わる。

舞奈は、二人に勉強を見てもらう代わりに由実の手伝いをするため、ここに泊まることはしょっちゅうだった。
両親も従兄弟と言う事で、承諾している。
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