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優しい彼の悪魔の顔
第1章 はじまり
「俺の部屋で飲もうよ」
「えっ、部屋で…?」
「うん。あれ?変なこと考えてる?はは、大丈夫だって、SEXしようなんて言わないから」
SEXって…!
ミコは思わず運転席のリョーを見る。
リョーはいつもと同じように目尻を下げながら笑う。
リョーとは先月知り合ったばかり。
職場の年に一回ある現場研修のパートナーとして顔を合わせた。
市内にもう一つある支店の営業担当。
中途採用らしく新人と言いながらもミコの4つ上の28歳。
今回で3回目の現場研修となるミコに、リョーは握手を求めながら言った。
「俺、現場は初なんで色々教えてくださいね、先輩」
そんなよくある出会いだったが、ミコはリョーのその屈託のない笑顔に一瞬で心を躍らせた。
それでも元来人見知りなミコはなかなか思うようにリョーと話をすることもできなかった。
二人で同じ店に行き、実際にお客様の接客をしながら自社商品の販売。
生のお客様の反応、意見を聞けるいい機会。
元々リョーは営業なだけあって接客もうまい。
対する事務職のミコは、自分から声もかけられず、立ち尽くすばかり。
うまくいかない日ばかりで落ち込むミコをリョーは何度か食事に誘った。
年下の先輩、年上の後輩。
プライベートを一緒に過ごしていくうちに、微妙な関係を崩すためにも敬語禁止、お互い名前で呼び合おうと決めたのもリョー。
男女の空気など一切なくやっとミコが普通に食事をとれるようになるまでに1カ月もかかった。
1カ月。
それは研修の最終日。
ミコは勇気を振り絞って打ち上げをしよう、と提案する。
「どうせならいつも飯ばっかだし、たまには酒でも飲みたいなー。明日休みだし。ミコも酒飲めるってこないだ言ってたよな?」
「お酒飲める、けど。でもリョー車じゃん。飲酒運転はよくないよ?」
「だよなー」
リョーはハンドルにかけた手の上につっぷする。
「あ、いいこと考えた」
リョーはがばっと飛び起きると、言った。
「俺の部屋で飲もうよ」
「えっ、部屋で…?」
「うん。あれ?変なこと考えてる?はは、大丈夫だって、SEXしようなんて言わないから」
SEXって…!
ミコは思わず運転席のリョーを見る。
リョーはいつもと同じように目尻を下げながら笑う。
リョーとは先月知り合ったばかり。
職場の年に一回ある現場研修のパートナーとして顔を合わせた。
市内にもう一つある支店の営業担当。
中途採用らしく新人と言いながらもミコの4つ上の28歳。
今回で3回目の現場研修となるミコに、リョーは握手を求めながら言った。
「俺、現場は初なんで色々教えてくださいね、先輩」
そんなよくある出会いだったが、ミコはリョーのその屈託のない笑顔に一瞬で心を躍らせた。
それでも元来人見知りなミコはなかなか思うようにリョーと話をすることもできなかった。
二人で同じ店に行き、実際にお客様の接客をしながら自社商品の販売。
生のお客様の反応、意見を聞けるいい機会。
元々リョーは営業なだけあって接客もうまい。
対する事務職のミコは、自分から声もかけられず、立ち尽くすばかり。
うまくいかない日ばかりで落ち込むミコをリョーは何度か食事に誘った。
年下の先輩、年上の後輩。
プライベートを一緒に過ごしていくうちに、微妙な関係を崩すためにも敬語禁止、お互い名前で呼び合おうと決めたのもリョー。
男女の空気など一切なくやっとミコが普通に食事をとれるようになるまでに1カ月もかかった。
1カ月。
それは研修の最終日。
ミコは勇気を振り絞って打ち上げをしよう、と提案する。
「どうせならいつも飯ばっかだし、たまには酒でも飲みたいなー。明日休みだし。ミコも酒飲めるってこないだ言ってたよな?」
「お酒飲める、けど。でもリョー車じゃん。飲酒運転はよくないよ?」
「だよなー」
リョーはハンドルにかけた手の上につっぷする。
「あ、いいこと考えた」
リョーはがばっと飛び起きると、言った。
「俺の部屋で飲もうよ」