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want to be ...【短編集】
第2章 ペアルック
「…蒼汰ってほんとイケメンだよね」
「なんだ突然」
「無駄なくらいイケメンだよね」
「…は?」
何が言いたいんだこいつ。
「…それに比べて、あたし…」
…あぁ。
「あのね、何回も言うけどそのさ…
自虐する癖いい加減どうにかしろ。いや直せ」
「だって…」
「だってじゃねぇ。何回言ったら分かんの?
お前は俺の女。それでいいだろ、何か文句あんのか?」
「も、文句なんて」
「じゃあいいだろ、ごちゃごちゃ言うな。
…今度そんな事言ったら、…どうしようかな」
…じゃあ、例えば。
「俺と釣り合わないって思ってんなら、…別れるか?」
一瞬にして、杏奈の表情が変わった。
「やだっ!絶対いやっ…」
「じゃあそんな事言うな。
次言ったらマジで考えるからな」
「ごめんなさい…」
「…、謝ってほしい訳じゃねぇし、
俺も何回もこういう事言いたくねぇの。
…お前さ、いい加減俺に愛される自分に自信持て」
「…っ」
…あ、
「自分を卑下するな。お前は十分魅力的だっつの…
そのままでいいんだよ、そのままでいいから」
泣きそう…
「…う」
「え」
「うぅ〜っ…」
「っちょー!?ここで泣くなよ」
「うぇえ…」
ごしごしと涙を蒼汰のTシャツの裾で拭ってやる。
「あってめっ…、…まあいいや。おーい泣きやめ〜」
肩から腕を回して頭を撫でられて、もう一度蒼汰のTシャツの裾で涙を拭う。
「…好きです」
「…知ってる」
「大好きです〜…」
「…っ、知ってるって」
「…蒼汰は?」
「…」
「…蒼汰は〜?」
「愛してるって言ったら?」
「…!嬉しい…っ」
「杏奈さ、これ以上頑張らなくていいから。
もともとほっそいのにさ、もっと痩せたら心配になるし
今みたいな事言われたらさ、
こっちも俺でいいのかって不安になんの。
…俺じゃ不満なの?」
千切れるくらい首を横に振る。
「満足?」
もげるくらい首を縦に振る。
「…よし。それでいいよ。
…あーもう、ムカついたからもう1個何か買わせろ」
「…へ?」
「もう1個お揃い買うぞ」
「…!」