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溺れる恋は藁をも掴む
第14章 二十歳の恋
欲張らない。
今日のデートは次の約束があるから、
終了も仕方ない。

駅に向かって歩き出す。

「でもね、
この映画、ちょっと過激なんです。
その………小説でも官能シーンがありまして、岬エリカも惜しみなく脱ぐのも前評判になっていて、誠治さんの好みの映画なのかな?って……心配です」


「映画はジャンル気にしないで観るけど、
過激過ぎたら、理性保てるかの方が心配」

笑ながらそう言う誠治さん。

あの……理性ですか?
保てなくなったらなんて……
私に対して?

何気なく言う言葉にドキッとします。

「だ…大丈夫ですよ。
映画として純粋に楽しめますよ」

私は何故か照れ隠しをする。

それから中谷宗馬の小説の話と岬エリカの話をしながら、駅のホームに向かった。


さよならの時間が近づく。


改札を通り抜けたら、
別々のホーム。


「華ちゃん、今日は有難う。
それとね……」

誠治さんは妹さんのプレゼントの入った、
ショツピングバックを開ける。


「これは、華ちゃんに」

「えっ⁉︎」

「今日のお礼。
マネキンに着せられている時から、
この色は華ちゃんに似合うって思った」

「でも、これは妹さんに…」

「うん。コートは妹に。
マフラーは華ちゃんに。
そのつもりで買ったんだ」
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