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溺れる恋は藁をも掴む
第14章 二十歳の恋
サプライズすぎる……

「気に入らないかな?」


私は左右に頭を思い切り揺らす。
気に入らないわけ…ないじゃないですか!

「あ…有難う御座います」

私……こういうシチュエーションに慣れてない。

「映画観に行こうね」

「はい」

「またね」

「はい」

「有難う。
華ちゃん」

「黒崎さん、
マフラー大事にします。
本当に有難う御座います」

「うん。
マネキンが着ていた服、
全部買ってしまおうか?
って一瞬思った。
でも、妹をあんまり甘やかしてもね…
マフラーは妹より、
華ちゃんのイメージのカラーだった。
穏やかな空色は、
華ちゃんのイメージだよ。
だから、今日のお礼に」


「好きです。
空色」


あなたも…
大好きです。


向き合って微笑み、
それぞれのホームに歩き出す。



大人のデートの帰りには早すぎる時刻。
夕日を浴びながら、私は電車に揺られて家に帰る。

初めてのデートは名残惜しいくらいが、
丁度いい。


あなたを好きになる時間を噛み締めたいから。

そんな風に思ったよ。
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