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溺れる恋は藁をも掴む
第15章 カルアミルクとビール
シャワーを浴び終えた誠治さんは、
私の隣に座り、
ビールの缶を開けてコップに注いだ。
乾杯をして飲み始める。
誠治さんはビールを美味しそうに飲む。

「誠治さんがビールを美味しく感じたのはいつ?」

「いつだろ?
分からないうちに好きになっていた。
それだけ歳をとったってことかな?」

あなたは笑いながらこたえた。

「水族園は行ったから、
今度は何処に行こうか?」

「どこにしましょう?」

未来がある会話が私を安心させた。

「来月は師走か‥‥」

「一年って早いですね。
冬休みは実家に帰るんですよね?」


そんな短い一年の中であなたと出会えた。


「うん、年に一度くらいは顔を見せてるからね。
年末年始は帰る予定なんだ。
‥‥‥クリスマスは一緒に過ごそうか?」

「うんうん。
実はクリスマスが誕生日なんです」

「へぇー
じゃあ、華ちゃんの誕生日は盛大に祝おう!
プレゼントは何がいい?」

「いらないです。
もう貰いましたから。
大好きな空色のマフラー」

「あれはあれ。
誕生日は別だよ」

「なら、クリスマスは一緒に居て下さい」

どんなプレゼントよりも、
あなたと一緒に居ることが何よりのプレゼント。


「分かったよ。
欲がない華ちゃんが好きだよ」
あなたは私を抱き寄せて呟く。


唇は再び重なり合う。

高望みなんてしない。
こういう時間が幸せだった。

あなたが居れば、
それで良かったんだよ。








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