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溺れる恋は藁をも掴む
第16章 陽だまり
真っ赤なスーツに、
前髪を眉毛上でパッツンと真っ直ぐに切り揃え、腰まで綺麗に伸びた黒髪。
細い脚に少し高めのヒールを履き、
コーヒーを飲みながら、煙草を吹かす女。
モデルか芸能人か?
と思わせるほどのルックスが抜群な女。

神田莉緒(かんだ りお)

俺が目の前まで行くと、
やや不機嫌な顔をした。

注文を取りに来たウェイトレスにコーヒーを注文し、 彼女と向かい合わせに座った。


「久しぶりね。
晶」

「久しぶり、莉緒」

彼女とは大学の時に知りあった。
同じ経済学部の講義を受けていたが、
彼女はドクモ(ファッション雑誌の読者モデル)などをしていて、目立つ存在だった。


俺はホモじゃないけど、
美人な莉緒を友達としては最高と思いながら、女として好きになる事はなかった。


「悔しいな。
私がアプローチして振り向かなかったのは、晶くらいよ」

そんな事をサラッと言う強気な女でもある。
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