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溺れる恋は藁をも掴む
第2章 初めての夜
イタリアンのお店を後にした。
店を出た時に、
「いくらだった?」
とアキに聞くと、

「いい。
今日は三浦の卒業式だし、
お祝いだから」

笑顔でアキは言う。

「有難う、アキ」

「誘ったのは俺なんだし、
飯くらい奢るさ。
それがスマートに出来ない男は、
ダサいだろ?」

「だね。
でも、有難う。
本当に嬉しい」

ちゃんとお礼が言えない人や、
ご馳走して貰って当然と思う人も、
私はダサいと思うから、
素直な気持ちで有難うを言う。



アキと並んで歩いた。
私はこれからを考えてドキドキしていた。

『最高の理解者』

アキの言葉が頭に木霊する‥‥

言葉は言い様だ。
セフレをそう呼べば、
やましい気持ちも失せてゆく‥‥‥


アキは私に恋愛感情はない。
それもハッキリ言われてる。
好きになってはいけない。
好きになったら、
苦しくなる。

そんなの予想がつく。

セフレはセフレ。


それでも‥‥‥


自信を失った私を取り戻そうとしてくれてる、
アキは最高の理解者でもあった‥‥‥

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