この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
溺れる恋は藁をも掴む
第16章 陽だまり
男と女とか、
付き合うとか興味が持てなかった俺。

ずっと、心に引きずってきた父親と母親の姿。
どんなに恋しくて、恋愛をして、
結婚して家庭を持っても、
歯車が狂えば、
愛なんて形が無残にも歪んでしまうのを、
小さな頃から見てきたから、
そういうの面倒だと思っていた。


だけど‥‥‥
百合には安心出来たんだ。
がんじ絡めだった心が、
百合の前だと自然にほぐれていった。
不思議な魅力を持った女だった。


「晶君、
今はさ、取り敢えず受験に没頭して、
大学生になってから、
この先の事を考えてみたら?
やる事がないとさ、
イヤな事ばかり考える思想家止まりよ。
逆に、目の前に目標が出来るとさ、
人は輝くんだってさ。
どうせなら、晶って名前なんだもん。
輝いてみたら?」

百合の言葉は、俺の心に染みていった。


それからは、
塾の夏期講習を受けて、帰り道に百合の家に寄ったりする生活が始まった。
1日に一度は、百合の顔が見たくなった。

水商売の女の割には暮らしが質素な百合。
普通のワンルームのマンションに住んでいて、
出勤前に寄ると、ノーメイクでラフな格好の百合が居た。

「晶君が来るからさ、
ホットケーキ作ったんだけど、
どら焼きになっちゃつた」

「それ、焦げただけだろ!」

「あんこ挟めばどら焼きになるよ!」

「あんこ、俺、苦手」

「あ、そ!疲れているだろうと思って、
甘いおやつ用意したのに」

「あんこなくても、大丈夫だよ。
今度、俺が作るね。
百合さんより上手だし」

「あら、そ!
なら、作ってよ」

漫才みたいなやり取りした後で、
必ず百合は笑った。
俺はね、その笑顔のお陰で、
少しずつ、自分を取り戻していったんだ。

/307ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ