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溺れる恋は藁をも掴む
第16章 陽だまり
百合はびっくりした顔をしたけど、
そのままキスを受けてくれた。

ホンテッドマンションを出たら、
ずっと手を繋いで歩いた。

帰りにお土産売り場で、
クッキーの缶を山ほど買う百合。

「ママや店の女の子にお土産。
ディズニーランドの自慢するの」

『ディズニーランドの近郊に住んでる人には、自慢にもなんねーよ!』ってツッコミを入れたくなった。
が、俺はそんな無邪気な百合が好きなんだと、実感した。

百合がずっと視線を向けた、
シンデレラの硝子の靴。
名前も彫ってくれるみたいで‥‥‥

「プレゼントするよ」

「え、いいよ」

「今日の記念に」

「本当にいいよ‥‥」

「キス記念」
って耳元で囁くと、
真っ赤な顔をした。

硝子靴にYURIと彫って貰う。

百合は何度もお礼言うんだ。

「一生大事にする」って。

大袈裟だな。
働くようになったら、
もっといいもんプレゼントするから。

俺は自分が高校生だって事を思い知らされた。
俺より少し大人の百合。
百合を自分のものにしたいなら、
それ相当の男が言わなきゃ、
格好つかないんだなぁって思った。

ディズニーランドの帰り道もずっと手を繋いだ。


帰り際に寂しくなって、
百合を抱きしめた。

「今日は帰りたくないな‥‥
百合と一緒に居たい」
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