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溺れる恋は藁をも掴む
第3章 最高の理解者
三浦華の書いたレポート用紙を眺めた。

ノートの線上に綺麗な文字が並ぶ、
丁寧に書かれたノート。
大事なとこはマーカーを引いて分かりやすくしてあり、
時に赤字で、テストに出るかも?
なんて書いてあったり。
覚えておいて損はないって、
《シュガーが言ったとこ》
なんて書いてもあった。

シュガーってアダ名のついた、
国語教師の佐藤。
20代後半の独身男。
痩せていて、背が高く、
ひょろっとしている。
目がギョロッとして見えるのが印象的だった。
その風貌からか、
神経質にも見えた。

テストや受験対策は、
予め、統計なども取りながら、
分析などをしていて、
重要なとこは、

「ここ、覚えておいて、
損はねーからな‼︎」

って言う奴。
教師になる前の大学生の時は、進学塾の講師のバイトをしていたらしい。

だから、俺たちにいつも危機感を含めた事を言う。


「いい大学に入りたくて、
入試に備えるのは当たり前。
お前らと同じように頑張って、
同じ大学を希望して、
狙ってる奴が居る事を忘れんな‼︎
大学なんて入ってしまえば、
やりたい事が4年間も出来る。
汗水垂らして、
社会で働いてる同級生も居る中、
学生で居られるんだ。
どうなりたいか?
選ぶのはお前ら次第。
卒業して働くのもいいが、
大学や短大に進みながら、
将来を決める時間を作るのも、
手だからな」って。


シュガーの言っていた事は、
口やかましく、
ウザくも感じたあの頃。

でも、今なら‥‥‥

あいつは教師って、
自分の役目を全うしょうとしてる、
いい奴なんだって思える。


俺は取り敢えず、大学受験を考えた。

あの頃は、
何がしたいとか、
将来はこんな仕事に就いてとか、
答えが出なかった。

やりたい事がなかったから、探す為だけに。
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